相続・遺言  よくあるご質問Q&A

贈与を受けた相続人との預貯金債権の共同相続

私には兄がおりますが、兄は父からマンションの購入資金を出してもらうなど多額の援助を受けております。
この度、父がなくなりましたが、父の遺産は預貯金だけです。父から多額の援助を受けている兄が、遺産の預貯金を折半する遺産分割を求めてきましたが、兄の提案には納得できません。
どうすればよいでしょうか(ちなみに母は10年前に他界しております)。

そんなお悩みの解決法は…

従来は、預貯金債権については、相続と同時に当然に法定相続分に応じて分割されるというのが裁判所の考え方でしたので、遺産が預貯金だけの場合は家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることもできない取り扱いでした。
このような従来の取り扱いでは、あなたの兄の預貯金を折半するという遺産分割の提案に問題はないということになります。
 
しかしながら、平成28年12月19日の最高裁判決で、一部の相続人だけが被相続人から生前贈与を受けて特別受益があるという場合の不公平を是正するという背景を踏まえて、最高裁判所は、従来の判例を変更して、遺産が預貯金だけの場合でも遺産分割の対象となるという判断をしました。
 
したがって、現在では遺産が預貯金だけの遺産分割の申立てを家庭裁判所は認めていますので、兄の提案に納得できないあなたは、遺産分割調停申立てをして、兄が受けた多額の援助を特別受益と主張することで、兄より預貯金を多く取得することができることになると思います。

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